目の周りを取り囲む眼輪筋が、ピクピクと痙攣を起こす疾患で、40〜50歳代の女性に多く発症します。脳のまばたきをつかさどる部分の異常が原因といわれ、目の酷使、ストレス、ドライアイ、先天的な異常などが関係していると考えられています。以前にないまぶしさを感じたり、目がしょぼしょぼしたりまばたきが増えるなどの症状がみられ、重症化すると目が開けられないために物が見えなくなることもあります。
痙性斜頸(けいせいしゃけい)
首の周囲の筋肉に異常な収縮が起こり、首が一定の方向に曲がった状態になる疾患です。脳から筋肉に異常な命令が伝えられることが原因で、ストレスや疲労が関係していると考えられています。初期に首の痛みや肩こりがあらわれ、頭が横に傾いたり、横を向いたり、前か後ろに倒れたり、肩が上がるなどの症状が起こります。同じ姿勢を取り続けるデスクワークの男性に多く発症します。
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片側顔面痙攣
顔の片方の目の周り、頬や口もとがピクピク痙攣する疾患です。目の下側から始まることが多く、進行すると一定時間目をつぶってしまったり、顔が引きつって歪むこともあります。顔の動きをつかさどる顔面神経が、主に動脈硬化によって蛇行した脳の血管によって圧迫されることで起こると考えられています。40〜60歳代の女性に多くみられます。
書痙(しょけい)、職業性ジストニー
字を書こうとするときに腕が固まったり、手が震えて字が書けなくなる状態が書痙です。一日中、字を書いている人に多くみられ、字を書く以外の動作では痙攣が起こらないのが特徴です。書痙の他にも、ピアニストなど緊張しながら一定の動作を繰り返す人に起こりやすい痙攣を職業性ジストニーといいます。
チック(トゥレット症候群)
自分ではコントロールできないまばたきを繰り返す、顔をしかめる、首振り、肩のぴくつき、キック、ジャンプなどの運動チックと、咳払い、嬌声、意味不明な言葉を発するなどの音声チックがあります。遺伝的な素因や、脳内の神経伝達物質のアンバランスが関係しているという説があります。主に5〜10歳の男子に発症しますが、青年期になると軽くなるケースや自然に治る場合もあります。
三叉(さんさ)神経痛
顔のこめかみから目、あご、頬と三本に枝分かれした三叉神経が支配する領域に起こる痛みを三叉神経痛といいます。多くは、脳に流れる血管がこめかみで神経に触れたり、神経を圧迫したりして起こります。目、あご、頬を中心に、突然ぴりぴりと痛みがあらわれます。その痛みが出る瞬間に顔の筋肉が一瞬収縮し、ピクッと動きます。鋭い痛みが間隔をおいて繰り返すたびに痙攣が起きるため、有痛性チックと呼ばれています。
破傷風(はしょうふう)
土の中の破傷風菌に感染して発病する疾患です。傷から感染すると1〜2週間ほどで、首筋がはる、口がこわばって食べ物が飲み込みづらくなる、舌がもつれるなどの症状があらわれます。さらに、筋肉が硬直し、体をのけぞらせる痙攣発作を繰り返して呼吸困難に陥り、死亡することもあります。錆びた刃物の切り傷や、細菌に汚染されたどぶ川のようなところでけがをしたときは破傷風感染の恐れがあるので、注意が必要です。
てんかん
代表的な症状は大発作と呼ばれ、突然意識がなくなり、全身の筋肉が緊張して棒のようになり、続いて体が大きくふるえます。その後、全身の力が抜けて睡眠期に入り、多くは数分から数十分で目が覚めます。脳の神経細胞の伝達システムに一時的な異常が発生して引き起こされるといわれ、原因が不明なてんかんと、脳腫瘍や脳外傷、脳血管障害などの疾患が原因となる症候性てんかんがあります。
妊娠高血圧症候群
妊娠中毒症と呼ばれていた疾患で、むくみ、高血圧、たんぱく尿が特徴です。妊娠後期に起こることが多く、胎児の発育障害や脳出血などを引き起こすことがあって、母子ともに危険な状態になる場合があります。重症の場合は、全身の痙攣発作と昏睡をともなうことがあり、発作の前ぶれとして目のちらつきや吐き気、頭痛、めまいなどがあらわれます。
脳疾患(脳腫瘍、脳梗塞)
脳の組織に腫瘍ができると頭の一部に鈍痛や重さを感じ、嘔吐や手足の痙攣があらわれます。また、脳梗塞は脳の血管に血液の塊が詰まることによって脳の組織が破壊される疾患ですが、脳梗塞を起こしたことのある人が立ち上がって足を踏み出そうとするときに、足首や膝がガクガクふるえることがあります。